仕様表で違うのは1行だけ
ヤマハは2026年9月に、CLP-826 と CLP-836 を発表しました。CLP-825 と CLP-835 の改良版にあたり、発売日は2026年10月22日です。ヤマハの製品ページでは、CLP-825 はすでに「生産完了品」の扱いになり、ラインナップには CLP-826 が並んでいます。
方法について先に書いておきます。これはメーカー公表の仕様にもとづく比較です。CLP-826 はまだ発売前で、2台を弾き比べた経験はありません。ヤマハが公開している新旧の仕様表を並べ、1行ずつ突き合わせました。
結果ははっきりしています。仕様表の中で違うのは、鍵盤の欄の1行だけでした。
変わった点:白鍵の側面に木材を使用
鍵盤はどちらも GrandTouch-S で、象牙調・黒檀調の仕上げとエスケープメントを備えています。CLP-826 の欄には、ここに「木材使用(白鍵)」の一言が加わりました。ヤマハの発表によると、白鍵の側面に木材を使ったもので、お客様の要望に応えた変更とのことです。アコースティックピアノで培った鍵盤設計と組み合わせて、よりグランドピアノに近い感触を目指したと説明しています。例として挙げているのは、オクターブを弾くときの指の当たりが自然になる点です。
この書き方から、2つのことが読み取れます。
- 鍵盤の仕組みは同じです。 どちらも GrandTouch-S で、タッチの設定(ハード・ミディアム・ソフト・固定)も同じです。鍵盤の重さや機構を変えたという説明はありません。
- 「木製鍵盤」ではありません。 CLP-845 も同じ GrandTouch-S ですが、仕様表の表記は「木製(白鍵)」です。CLP-826 は「木材使用」で、発表では側面に使ったと書かれています。CLP-826 を「安い CLP-845」と考えるのは誤りです。
側面の木材で変わりそうなこと、変わらないこと
鍵盤のどこに指が触れるかを考えると分かりやすくなります。1本の旋律を弾くときは、主に鍵盤の上の面を押します。ここは変わっていません。側面に指が触れるのは、指が鍵盤のすき間に入ったとき、広い和音で隣の鍵盤に指が当たるとき、オクターブで手を広げたときです。ヤマハの例もこの場面で、素材が変われば手ざわりやすべり具合、冷たさなどが違って感じられる可能性はあります。
一方、仕様表で同じとされている部分は変わらないと考えるのが自然です。鍵盤の重さ、ハンマー機構の反応、そして音です。旋律中心の曲を弾く方には、実際の差は小さいかもしれません。オクターブや大きな和音の多い曲を弾く方は、発売後に店頭で確かめる価値がある項目です。どのくらい違いが分かるかは、仕様表からは判断できません。
そのほかはすべて同じ
ヤマハの仕様表では、ほかの項目はすべて共通です。主なものを挙げます。
- 音源は Yamaha CFX と Bösendorfer Imperial のサンプリング。CFX はバイノーラルサンプリング対応。VRM を搭載し、同時に出せる音の数は256音
- 音色数は10、リバーブは4種類
- アンプは20W×2、スピーカーは12cmが2基
- Bluetooth オーディオと MIDI、USB オーディオインターフェース
- ヘッドホン端子は標準(6.3mm)が2つ。AUX の入出力はなし
- 3本ペダルで、GrandTouch ペダルを搭載
- レッスン曲303曲とクラシック50曲。録音は1曲・2トラック(MIDI)
- 本体は幅1,350mm・奥行411mm・高さ849mm、重さ45kg
- 本体の色も同じで、椅子とヘッドホンが付属する点も同じ
音が良くなった、音色が増えた、スピーカーが強くなった、といった説明を見かけても、ヤマハの公表仕様では裏付けられません。
CLP-825 と CLP-826、どちらを選ぶか
CLP-825 は生産が終わっているため、今後は販売店の在庫限りになります。在庫品は値下げされることもあります。仕様表で見る限り、選ぶ理由は十分にあります。音、スピーカー、接続、本体はすべて同じで、違うのは白鍵側面の木材だけだからです。
新品の CLP-825 が CLP-826 よりはっきり安く買え、白鍵側面の手ざわりにこだわりがないなら、CLP-825 は合理的な選択です。価格差が小さい場合や、オクターブや和音の多い曲を弾く場合は、CLP-826 の方が納得しやすいでしょう。10月22日の発売後に店頭で弾いてから決めても、待つ期間は長くありません。なお在庫限りのため、希望の色が残っていないこともあります。
海外では、2026年9月時点で CLP-826 は発表されておらず、CLP-825 が現行機として販売されています。
CLP-835 から CLP-836 も同じ変更
CLP-836 も、CLP-835 からまったく同じ変更を受けています。仕様表で違うのは鍵盤の1行だけなので、この記事の内容はそのまま当てはまります。新しい2機種のどちらにするかで迷っている方は、CLP-826 と CLP-836 の比較も参考になります。
まとめ
CLP-826 は、CLP-825 の白鍵の側面に木材を使ったモデルです。鍵盤の仕組み、音、スピーカー、接続、本体の大きさは変わっていません。CLP-825 の在庫品との価格差を払う価値があるかは、鍵盤側面の手ざわりをどれだけ重視するかで決まります。そこは仕様表ではなく、ご自身の指で確かめる部分です。