タッチの等級は同じ、音の考え方は正反対

カワイ CA-401 とローランド HP-704 は、入門機を卒業したものの最上位帯までは検討していない方にとって、自然に候補に挙がる中位の据置型2台です。価格は近く、カワイがローランドをわずかに上回る位置にあります。そして当サイトのタッチ等級では両者が同点です。これは珍しく、つまり決め手を別のところに求めるしかないということになります。

その別のところが音源で、ここでは2社の考え方がほとんど正反対です。カワイは19音色、ローランドは324音色。

方法について先に書いておきます。これは公開スペックにもとづく比較で、2台を弾き比べた経験はありません。弾き心地で優劣は付けず、各社が実際に作ったものと、それが誰に向くかを整理します。

鍵盤:当サイトの等級では差が付かない

CA-401 はカワイの Grand Feel Compact、HP-704 はローランドが据置型に長く載せてきた木と成形材のハイブリッド、PHA-50 です。鍵盤表面はどちらも象牙調の仕上げで、指先が触れる部分まで条件が近い2台です。

タッチ等級は並びます。ただしこれは公表されている構造から機械的に決めた数値で、弾いた印象ではありません。等級が同じでも、弾き味が似ているとは限りません。 Grand Feel Compact と PHA-50 はそれぞれに支持者がいて、どちらが正しいという話にはなりません。店頭で1つだけ試せるなら、この2つの鍵盤を続けて弾いて、手に判断させてください。この記事のどの記述もそれには優先しません。

音源:19音色 対 324音色

CA-401 は SK-EX Rendering を積み、カワイのシゲル・カワイ SK-EX をもとにした音を中心に、音色数は19で止めています。これは意図的に絞った設計です。少数の音色を丁寧に仕上げ、生ピアノの音を中心に据えるという考え方です。

HP-704 は SuperNATURAL Piano Modeling で、音色数は324。モデリング方式は音色を増やす負担が小さいので、ピアノ以外にオルガン、エレクトリックピアノ、ストリングスなども幅広く入ります。バンドで弾く方、合唱の伴奏をする方、単に音色を渡り歩くのが好きな方にとっては、これは数字ではなく実際の機能です。

正直に書けば、この2台は向く相手が違います。良いピアノの音だけあればよい方に19音色は不足ではありませんし、実際に使う方にとって324音色は無駄ではありません。先月自分が何を弾いたかを思い出すのが早いと思います。

出力と本体:出力はローランド、背の低さはカワイ

CA-401 は40Wを4スピーカー、HP-704 は60Wを4スピーカーで鳴らします。出力に余裕があるのはローランドです。どちらも家庭の部屋を鳴らすには足りますが、他の奏者と合わせる場面では差が出ます。

本体は重量差以上に違います。CA-401 は幅1360mm・奥行485mm・高さ915mmで57.5kg。HP-704 は幅1377mm・奥行468mm・高さ1113mmで59.5kgです。注目したいのは高さで、ローランドは20cm近く背が高くなっています。狭い部屋や、楽器の向こう側を見渡したい場所では、この差が毎日効いてきます。

練習まわり、そして分かれるところ

日々の練習に必要なものはどちらも揃っています。ヘッドホン端子は2系統でヘッドホン最適化つき、これが夜間練習を「静かなだけ」ではなく快適にしてくれます。Bluetooth オーディオと Bluetooth MIDI、USB MIDI、アプリ連携、録音、レッスン機能、レイヤー/スプリット、メトロノーム、移調も両方にあります。スタンドとダンパーペダルは同梱で、マイク入力はどちらにもありません。

差が付くのは同時に出せる音の数で、カワイ192に対しローランド384です。独奏曲ならどちらも不足しませんが、ペダルを多用する場面や音を重ねる場面での余裕はローランドの方が大きくなります。

ライン出力は HP-704 にはあり、CA-401 にはありません。 ミキサーやオーディオインターフェースにつなぐ前提なら、ここで決まります。ローランドは直接つなげますが、カワイは別の手立てが必要になります。

内蔵曲は音色数と同じ傾向で、ローランド382曲に対しカワイ176曲。内蔵曲を練習教材として使う方には差になります。

どちらを選ぶか

カワイ CA-401 は、生ピアノの音がすべてという方に向きます。シゲル・カワイ SK-EX を軸にした19音色と、20cm近く低い本体。クラシックやソロ中心で、良いピアノの音が1つあれば十分という方、そして背の低い家具を求める方の選択です。

ローランド HP-704 は、幅の広さが要る方に向きます。324音色、384という同時に出せる音の数、382曲の内蔵曲は、ジャンルをまたいで弾く方や他人の伴奏をする方には実用的な差になります。出力の余裕もライン出力もローランド側にあり、価格も下です。背の高い本体は受け入れる前提になります。

鍵盤の等級が並んでいる以上、現実的な決め方は、両方を弾くまで鍵盤の議論をいったん脇に置き、先に音の問題を片付けることです。丁寧に仕上げた1台分のピアノか、実際に使う音色の引き出しか。