この比較で答えたいこと

CLP-845 と CLP-875 は、ヤマハのクラビノーバ CLP-800 シリーズで隣り合う2機種です。価格は CLP-875 の方がはっきり高くなります。迷っている方が知りたいのは、その差額で何が増えるのか、弾いていて違いが分かるのか、という点だと思います。

方法について先に書いておきます。これはメーカー公表の仕様にもとづく比較で、2台を弾き比べた経験はありません。両機の仕様を並べて、1行ずつ突き合わせました。

結論から書くと、上位機で変わるのは2つです。鍵盤の種類と、スピーカーを含む本体です。音源、音色数、同時に出せる音の数、接続や機能は同じです。

鍵盤:GrandTouch-S と GrandTouch

いちばん気になるのは鍵盤でしょう。ここは誤解されやすい部分でもあります。

つまり、上位機に上げても「樹脂の鍵盤から木の鍵盤へ」という変化ではありません。木製の白鍵は CLP-845 の時点ですでに付いています。下の CLP-825・CLP-835 も GrandTouch-S ですが、白鍵は木製ではありません。CLP-845 と CLP-875 の間で変わるのは、鍵盤の仕組みそのものです。

CLP-875 の鍵盤は、上位の CLP-885・CLP-895GP と同じものです。シリーズ全体の仕様を見ると、タッチの段差は CLP-845 と CLP-875 の間にあります。CLP-875 より上の機種で変わるのは、アンプ出力や本体、音色数で、鍵盤ではありません。当サイトの鍵盤評価(10段階)では、GrandTouch-S が8、GrandTouch が9です。

ただし、この差がどう感じられるかは仕様表からは分かりません。仕様表は鍵盤の名前を示すだけで、鍵盤の重さなどの数値は載っていません。すぐに違いが分かる方もいれば、近いと感じる方もいるはずです。ここは仕様では決められない部分です。できれば店頭で両方を弾いて確かめるのが確実です。

スピーカーと本体:出力と重さ

もう1つの違いは音響です。

出力は40W、スピーカーは2基増えます。CLP-875 のアンプは(45+25+40)W×2 という構成です。出力とスピーカーが増えると、大きな音で弾いたときの余裕が増えます。広い部屋でも響きが行き渡りやすくなります。どのくらい効くかは、部屋の広さと弾く音量しだいです。

ヘッドホンで練習する場合、この差はまったく関係しません。ヘッドホン端子は両機とも2系統で、ヘッドホン向けの音の調整機能も同じです。外部のスピーカーにつなぐ場合も、両機ともライン出力があります。

本体の大きさは次のとおりです。

床に置く広さはほぼ同じで、CLP-875 は4cm高く、11kg重くなります。2階への設置や、将来の引っ越しを考える方は気にしておきたい点です。

差額で増えないもの

仕様表では、ほかの項目はすべて同じです。

CLP-875 の方が音色が多い、音源が違う、といった説明を見かけても、ヤマハの公表仕様では裏付けられません。ヘッドホンで聴く音を作る音源は、両機で同じです。

CLP-845 で十分な方

CLP-875 を選ぶ意味がある方

ほかの選択肢

グランドピアノ型の本体が良い場合、ヤマハは CLP-865GP を CLP-845 とほぼ同じ位置づけとしています。鍵盤も同じ GrandTouch-S です。他社と比べたい方は、カワイ CA-401 と CLP-845 の比較とカワイ CA-701 と CLP-875 の比較も参考になります。さらに上を検討している方は、CLP-885 と NU1XA の比較をご覧ください。

まとめ

CLP-875 は、CLP-845 の鍵盤を GrandTouch-S から GrandTouch に替え、音響を180W・4基から220W・6基に強めたモデルです。本体は4cm高く、11kg重くなります。音源、音色数、機能は変わりません。

ヘッドホン中心の練習や、それほど広くない部屋なら、CLP-845 で必要なものはそろいます。タッチのために差額を払うなら、決め手は仕様表では判断できない1点です。ご自身の指で GrandTouch をどう感じるか、そこで決まります。